診療案内

Treatment

診療案内 Treatment

概要(診療体制)

腎臓内科では入院、外来において慢性腎臓病、検尿異常、電解質異常、急性腎障害、遺伝性腎疾患などの診断・治療、保存期腎不全管理から末期腎不全の腎代替療法、各種疾患に対するアフェレシス療法まで幅広く腎臓関連疾患の診療にあたっています。外来患者数は週に約100名、年間新入院患者数は約200名で慢性腎臓病に関してはかかりつけ医の先生方との連携(二人主治医制)を強化し、腎機能の低下速度を把握し慢性腎臓病の重症化予防・管理を行っています。特に出雲市では独自の慢性腎臓病連携紹介状・情報提供書を用いて慢性腎臓病の病診連携、地域連携を進めています。

専門外来としてシャントPTA外来、腹膜透析外来を設置しています。近年の高齢化率の上昇に伴い、特に超高齢者で末期腎不全に対する腎代替療法の選択が重要な課題となっています。そのため腎代替療法選択外来を設置し、医師、看護師と協力して血液透析、腹膜透析、腎移植、保存的腎臓療法(conservative kidney management: CKM)について説明しています。患者、家族、医療チームが各治療のメリットデメリット、患者、家族の懸念事項、意向を共有することにより、腎代替療法選択の意思決定を支援しています。また、看護師、臨床工学技士、栄養士などの多職種による腎臓病教室を定期的に開催し、慢性腎臓病に関する知識の普及・啓発に努めています。

診療実績

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年度 腎生検数 透析導入数 透析件数 GCAP 血漿交換 腹水濾過 治療件数
2017 36 34 2182 141 66 17 2457
2018 42 35 1831 99 18 40 1996
2019 46 35 1981 54 20 16 2091
2020 47 27 1704 133 30 26 1943
2021 47 17 1688 131 43 31 1899
2022 46 31 1909 183 25 17 2156
2023 27 28 1764 79 13 10 1881
2024 44 30 1708 122 37 13 1904

当科の慢性腎臓病管理の特徴

長期的な腎機能の推移に基づいた治療

慢性腎臓病の予後を予測する因子として、これまで原因疾患、腎機能(eGFR)、蛋白尿の程度が知られていましたが、近年の研究によりeGFRの年間低下速度(eGFRスロープ)が末期腎不全リスクの予測因子であることが明らかとなってきました。eGFRの年間低下速度が大きいほど慢性腎臓病の合併の有無に関わらず末期腎不全のリスクが高まります。また、eGFRスロープは透析導入時期の予測にも重要です。島根大学医学部附属病院ではこのeGFRスロープを可視化し、透析導入予測年齢を提示する医療系解析ソフトであるLong-term eGFR plot (LTEP)を電子カルテに導入し慢性腎臓病診療に活用しています。

我々の検討によりLTEPによりヘルスリテラシー向上がはかられ、腎機能悪化速度を可視化し、透析導入年齢を正確に予測できることが示唆されています。将来、透析導入が予想される慢性腎臓病患者さんに対してはRAAS阻害薬、SGLT2阻害薬等の腎保護薬を積極的に導入しています。

腎生検について

検尿異常、腎障害の診断、治療法決定のため腎生検は年間40例程度実施をしています。通常の超音波ガイド下での腎生検が困難な場合にはCTガイド下、開放腎生検で対応しています。当院では月曜日に入院、火曜日、水曜日に畜尿等の諸検査を実施し、木曜日に腎生検を行い出血などの合併症がないことを確認し、土曜日に退院のスケジュールとしています。
IgA腎症に対しては適応のある患者さんには耳鼻咽喉科との連携により積極的に扁桃摘出+ステロイドパルス療法を取り入れ、良好な治療成績を得ています。難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブの投与や巣状分節性糸球体硬化症をはじめとする難治性ネフローゼ症候群に対するLDLアフェレーシス療法も行っています。膠原病、ANCA関連腎炎については膠原病・リウマチ内科と連携して適切な治療を行っています。

血液浄化治療部門について

全国の透析患者は34万人を超え、島根県内において約1800名の患者さんが維持透析を行っています。透析患者の高齢化も進行しており、全国調査では平均年齢70歳で、高齢者は併存疾患も多いことから、今後血液浄化の重要性が増すことが予想されます。
島根大学医学部付属病院の血液浄化治療部は透析ベット10床で腎臓専門医、泌尿器科専門医、透析専門医、臨床工学技士、看護師の多職種で日々の診療にあたっています。急性、慢性腎不全に対する血液透析療法の新規導入、維持透析患者の合併症治療のみならず炎症性腸疾患の顆粒球吸着除去療法等の他科の診療を支える役目も担っています。現在、週1回の多職種でのカンファレンスを行い、採血データ、レントゲン等の基本データの確認を行い治療方針の共有を図っています。シャントPTA外来を週に2回開設し、2024年度からシャントエコー検査も実施可能となっています。

今後はスタッフ一同協力しながら、慢性腎臓病指導、血液透析、腹膜透析、在宅透析、腎移植など腎臓疾患の治療を一元的に管理できるよう血液浄化治療部を発展させていきたいと考えております。
島根県全域の医療機関から信頼される血液浄化治療部として診療システムの強化に努めて参ります。今後ともご指導の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

腹膜透析部門について

腹膜透析は血液透析と比べて通院回数が少なく自由に過ごせる時間が多い、毎日行うため体への負担が少ない、残腎機能の保持に優れているなどのメリットがあり、若年者にも高齢者にもよい適応があると考えられます。
日本透析医学会の統計調査では、島根県は全国の平均と比べて腹膜透析をされている割合が多く、県内関連病院には多数の腹膜透析患者さんがいらっしゃいます。当院では腹膜透析のカテーテル留置は泌尿器科にお願いし、管理は当科で行っており、泌尿器科と協力して腹膜透析を導入しています。
また、腹膜透析患者さんには半年に一度入院していただき、透析効率測定のために蓄尿・蓄排液、PETによる腹膜機能の確認を定期的に行っています。腹膜透析専門外来を金曜日午後、月2回開設しています。

地域の先生方へ

初診

腎臓内科の初診外来は原則毎日行っており、かかりつけ医、健診センター等からの紹介を随時受け付けています。県内の腎臓内科基幹病院として出雲市内のみならず、県内全域から紹介患者さんが受診されています。第4金曜日午後には慢性腎臓病地域連携外来を設置しています。島根大学医学部腎臓内科では長期的な腎機能の推移を基に診療をすすめており、過去5年間のeGFRを記載した診療情報提供書を作成して頂けますと幸いです。詳細は以下をご参照ください。 

詳細はこちら

再診/専門外来

  • シャント外来 水曜日、金曜日の午前

  • 腹膜透析外来 第2・4週の金曜日午後

  • 腎代替療法選択外来 第2週金曜日午後

  • 慢性腎臓病地域連携外来 第4週金曜日午後

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